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うろんな客

河出書房新社
価格: ¥ 1,050
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   風の強いとある冬の晩、館に妙な奴が闖入(ちんにゅう)してきた。そいつは声をかけても応答せず、壁に向かって鼻を押しあて、ただ黙って立つばかり。翌朝からは、大喰らいで皿まで食べる、蓄音機の喇叭(らっぱ)をはずす、眠りながら夜中に徘徊、本を破る、家中のタオルを隠すなどの、奇行の数々。でもどういうわけか、一家はその客を追い出すふうでもない。

   アメリカ生まれの異色のアーティスト、エドワード・ゴーリーによる、1957年初版の人気の絵物語。なんといっても、「うろんな客」の姿形がチャーミングで、忘れがたい。とがった顔に短足。お腹がふくらみ、重心が下にある幼児型が、稚拙な仕草をほうふつさせる。

   この客、傍若無人ながらも憎めないのは、多分、彼が無心に行動するからだろう。たとえば子どもにせよ、ペットにせよ、無垢で無心な存在に、手はかかるけれども案外私たちは救われているのでは。そう思うと、この超然とした招かれざる客には思いあたるふしがある、と深いところで納得させられもするだろう。

   白黒の、タッチの強いペン画と、文語調の短歌形式の訳が、古色蒼然としたヴィクトリア風館の雰囲気を、うまく醸し出している。明治時代の翻訳本のようなレトロ感も魅力。原文はゴーリー得意の、脚韻を踏んだ対句形式。どのページの絵も、これまた芝居の名場面のようにピタリときまって、子ども大人共に楽しめる絵本だ。(中村えつこ)


漢文体

初めてゴーリーの本を手にしました。英文自体がそういうものなのでしょうが、和訳にわざわざ短歌形式にするという素直すぎる訳者は日本人が読者であるという配慮に欠けています。もっと考えて翻訳して頂きたい。 いーじー


パパはわからなかったけどママはすぐにわかった。

ある日突然やって来てそのまま17年も居座り続けているあやしげな客「IT」。その正体をママはすぐに見破りました。私は最後まで気づきませんでしたけど・・・。さすがママ。母は強し。とてもよくできたストーリーです。正体が分かる前と正体がわかった後の2度楽しめました。 yakiniku


心と生活に入り込む「IT(何か)」が怖い

原文タイトルは「The Doubtful Guest」ですが、本文中は「Guest」という単語はなく、すべて「IT」で表されます。「IT」と見るとスティーブン・キングの名作「IT」が思い出されます。様々なものを含包する「IT」が、ここでも怖さを発揮しています。

本著で「IT」を迎えた一家は、追い出すでもなく、粗雑に扱うでもなく「IT」と共生を始めます。「IT」は時に自分勝手ぶりを発揮しつつ住みつき、気が付いたら・・・というストーリーです。

ふと人間の心にぽっかりと空いたところに入り込み、時に宿主を振り回す「IT(何か)」を描いているのではないでしょうか。誰にでも覚えがありそうな感覚な気がします。キリスト教の「七つの大罪(傲慢・嫉妬・憤怒・怠惰・強欲・暴食・色欲)」のような。作品中でもそうですが、「IT」はどこか愛嬌があり、宿主は「IT」の存在を受け入れてしまうのかもしれません。

ゴーリー作品の中では珍しく、直接的に「死」を感じさせる内容ではありませんが、そこはかとなく感じる怖さは他の作品に引けを取りません。 Jabb


読めば読むほど

エドワード・ゴーリーさんの著書を拝読したのは本書が初めてです。初心者でも読みやすく、ファンの間で評価も高いとの事でしたので安心して読み始めました。何だか読めば読む程に、謎の生物うろんな客に愛着を感じました。最初の読後は意味がよくわからず、訳者の柴田さんの追悼文を読んで初めて理解しました。うろんな客の意味を理解した上でまた読み返してみると何故だか面白い。思えば皆、うろんな客の人生を皆歩んできたのだなぁと思うと人は何故あたかも当然のように受け入れられるのだろうと考えてしまいました。物の見方の違い、視点の違いとは面白いですね。まだエドワード・ゴーリーさんの著書を真に理解する言は出来ませんが新鮮な本でした。 空ノ月


ゴーリー。

この人の作品は、見れば見るほどわくわくするというか、何とも言えない気持ちになります。無性に何かやりたくなります。この本は素直に面白く、ゴーリーの表現力の旨さと画力の高さを思い知らされました。読むたびに違う本を読んでいるかのような、新しい発見が次々と出てきます。観察すればするほどおもしろい。個人的に生物が壁に鼻を押し付けているページがとても好きです。あと、最後のページにあの生物がちゃっかりいて、住人たちがもうどうでもいいやみたいな顔をしているところがおもしろかったです。


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