本書が処女作であり、完成度も高い!
フランクルの主著は『夜と霧』だと思っていたが、本書『死と愛』の方が代表作であり、しかもナチスの収容所に入る前に完成した処女作であることを諸富氏の本で知った。翻訳は直訳調であるが、意訳でないだけに著者の論旨を辿りやすい。
フランクルは、精神分析を‘身体的’な空間次元における「適応」アプローチ(主体と客体の共存を前提)と位置づけ、心理分析を‘心的’な時間次元における「形成」アプローチ(諸状態の継起を前提)と位置づけた。その上で、精神分析の空間次元を超える‘精神的’なロゴセラピーと心理分析の時間次元を超える‘精神的’な実存分析を創出し、「充足」アプローチと位置づけている。
本書によって、ロゴセラピーがサイコセラピーに対抗して生まれた言葉であり、ロゴセラピーと実存分析が同じものではなく、それぞれが精神分析と心理分析を超えるものとして生まれた方法であることが分かった。
諸富氏がフランクルの三部作とした『死と愛』、『制約されざる人間』、『苦悩の存在論』がもっと読まれるべきであり、中でも処女作の完成度の高さを理解すべきである。
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