最底辺の10億人 最も貧しい国々のために本当になすべきことは何か? 

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最底辺の10億人 最も貧しい国々のために本当になすべきことは何か?

最底辺の10億人 最も貧しい国々のために本当になすべきことは何か?

ポール・コリアー

出版社:日経BP社
価格: ¥ 2,310
通常24時間以内に発送

配送料無料(1500円以上)、着払いもOK

現代の貧困問題をよく分析した好著である

 ここのところ、金融危機をきっかけとして、大企業による非正規雇用者の解雇のニュースが連日続いている。
 これをきっかけとして、格差問題が再び盛んに議論されている。
 どうやら、政府も重い腰を持ち上げて、これらの問題にも少しずつ対策を打ち出しつつあるように思える。

 ところが世界に目を向けると、表題のとおり、10億人もの人々が貧困にあえいでいるという。
 本書は主にアフリカの諸国で、貧困から立ち上がれない人々にスポットを当て、なぜ貧困から抜け出せないのか、なぜ援助をしても立ち上がることができないのか、なぜ天然資源の豊かな国が経済的に発展できないのか。といった疑問に正面からぶつかり、一つ一つひもといている。
 そのうえで、10億人の人々を救うためには、技術協力に重点を置いた援助、秩序の維持のための軍事介入、そして問題点解決のための国際的基準作りを提唱している。
 軍事介入については異論はあるが、最終章にある国際憲章については、前半で分析した問題点を踏まえてよくできている。

 特に、先進国が農産物を保護するために補助金を支給している点については、先進国の国民に損害を与えている以上に、途上国に損害を与え、「政策の失敗」であると切り捨てている。

 現代の貧困問題をよく分析した好著である。
takokakuta


格差拡大は日本の中だけではない

日本では格差拡大が話題になっている。世界に目を向けてみよう。冷戦の終結後、世界の大部分は(表向きの)平和の恩恵を享受して、90年代には経済成長を遂げた。著者の分類によると、最先進国(10億人)に次ぐ40億人のグループでは特に成長が顕著で、年平均4%の成長を遂げたそうだ。一方、最貧国10億人はどうなったか。この10年の平均は、マイナス0.4%成長だそうである。彼らは1970年代よりも貧しくなった。筆者の問題意識は、貧困それ自体というよりも、それが固定化・拡大している動的な構造に向けられている。

筆者は最貧国における低成長の原因となっている構造的な「罠」として、4つの要因を挙げている。紛争、資源、輸出港へのアクセスの欠如、ガバナンスの効かない政府、である。このうち、資源は一般に国を富ませると思われているのでぴんと来ないかもしれないが、実際には、以下のルートで健全な経済成長に悪影響を及ぼすらしい。

・ 資源の発見→市民の税負担の軽減→税金の賦課・分配に対する確認のプレッシャーの低下→民主制の妨げ→外国資本の逃避(などいろいろな成長の妨げ)
・ 資源の発見→資源の輸出→外貨獲得・輸出超過→自国通貨安への圧力→その他資源以外の輸出産品への悪影響(通称、オランダ病=北海油田発見後のオランダが陥った「罠」)

著者は、この罠からの脱出についても論じている。詳しくは本書を読むべきだが、通説とは異なることがいろいろ書かれていて興味深い。

援助の効果は限定的である。官僚的な援助団体は、「効果」よりも「実績」を作り出したがる。援助物資が軍事費に不当に充当されているのも事実である。ではどうやって援助の効果を高められるか?援助の「効果」にわれわれは無関心だったのではないか?

典型的な内戦の損失は、国内外含めて640億ドルという試算がある。世界では年平均二回内戦が起こっている。年1000億ドル以上の損失である。確かにイラクへの介入は失敗だったが、それ以外の介入まで否定してよいのか?(イラクは除いて)内戦への介入に対する便益は、通常、費用の30倍に達するという試算もある。ルワンダで50万人が国際社会に見殺しにされた教訓をわれわれはどうやって活かすべきか。

等々。必ずしも全ての提案に同意しないが、示唆に富む指摘が読めておもしろかった。 djwaraji


そううまくいくか

1.私なりに内容をまとめると
 世界には繁栄と無縁な10億人の人がいるが、それらの人が所属国は4つの罠にはめられて身動きが取れない。これを放っておくと他の50億人にとっても不利益である。そこで、これらの国の貧困問題を解決するには、成長が大事である。その成長を促す手段4つを、的確に、かつ効率的に取り入れるべきである(罠と手段については本をお読みください)。
2.評価
 単なる著者の哲学ではなく、資料を駆使した上での結論のようなので(p314〜)、門外漢の私ごときの批判は難しい(資料に当たっていないので)。ただ、直感的には、疑問がある。
 まず、輸出品目を増やすのは可能か?天然資源に比較優位があれば、輸出品目を増やす気になれないオランダ病もやむないだろう。その克服ではなく、それを前提として政策を立案したほうがいいのではないか?
 第2に、貿易の多様性についてだが、50億人の人には多様性は不要なのか(農業補助金はその手段だろう)。10億人と50億人でルールが違うのはやむを得ないとは思うが、違った場合の不都合も考慮しなければならないのではないか。
 第3に、軍事介入について。有益だとしても、どのような哲学に基づくべきかが明らかでないし(今までの価値観を超えないと他国を納得させられないだろう)、国際連合の問題にも踏み込めていないように感じた(拒否権をなくしたほうが介入は容易になるはずで、なぜ提言しないのだろう。既得権保護か)。
3.結論
 長所星5つ、短所星3つ。短所は所詮直感的なものなので、星1つ減らすにとどめ、星4つ。 清高


同じ、人類、として。

著者は、最貧国が経済発展に見放されてしまう”罠”を、4つに分類。
それは、「紛争」、「天然資源」、「内陸国であること」、「小国における悪いガバナンス」。

翻って、なぜ、わたしの住む日本が経済発展を遂げられたのかを考えてみる。
勤勉な民族性? 日本人は、まじめだから?
それを全否定はできないけれども、海に囲まれ、これといった天然資源のない日本は、地理的なラッキーに助けられていたんだ、ということを改めて強く感じた。

注意すべき点は、最貧国=アフリカではない、ということ。
アフリカにも経済的に比較的豊かな国があり、アフリカ外でも困難に陥っている国がある。
当たり前のようだが、遠い国のことなので、つい勘違いしそうになる。
また、開発援助論の中では、民族の自決権をどうするか、といったことが議題になる。
だが、本書に登場するような国には、それ以前の助けが必要じゃないだろうか。

かわいそうな人々を見て、豊かな日本に生まれた自分はまだマシ、と比較優位に立って終わり、じゃなく、
人類が歴史の中で築き上げてきた人権思想が、世界という現場で、いままさに試されているんだと思う。
ともに生きたいのか、どうなのか、助ける力があるのか、余力がないのかー。
自分という個人単位でなせそうなことを考えたり、実践しつつ、
国家や国連などの行動を、注意深くウォッチしたいという気になった。
と、同時に、日本国内にも貧困が増えてきていることを忘れてはいけない。

遠くを視野に入れることで、足元もよく見える。
かなたの誰かを知ることで、わたしへの理解も深まる。
日本語を読める人になら、誰にだっておすすめしたい1冊だ。 misora


今日の開発問題を考える際の一級書

アフリカ問題の大家が、今日の開発問題の盲点に挑みます。ただ、大家といっても単なる学者ではありません。世界銀行の実務官僚の経験にうらずけされた実体験・豊富な資料を駆使して論議を進める姿に、英国の開発学の層の厚さを感じました。 中味といえば、漠然とした、植民地後遺症論やグルーバル化悪化論を退け、エビデンスを示しながら、先進国援助の問題、内戦がビジネスとなっトいるアフリカ諸国の現実、有効な対策を打ち出せないでいる国連機関の姿、独善的なNGOの現状を横軸に、ボトム・ビリオンの国が陥っている4つの罠の惨状を縦軸にして、世界人口の底辺の人々10億人の苦悩を記しているのは圧巻です。アフリカ問題、いや開発論を学ぶ方にとって必読の本と言ってけして過言ではありません。今、世界経済が沈滞に向かう中、このような人々の生活をどう守るのか、いや、寧ろボトムビリオンが広がるのをどう防ぐのか。80年代の世銀の構造改革路線の轍を踏まない工夫が求めれている時に、思考の出発点を提供してくれます。そういいながらなぜ評価が低いのか。それは訳文の質です。原著に忠実に訳さんとするあまり、日本語として非常に分かり難い表現が多々みられそれが核心的な部分の表現の箇所に多かったのが非常に残念でした。海外出張中にアメリカの空港で原著を入手してそちらで読了しました。少々辞書を引く労力を厭わなければ原著を読まれるのも一法です。
gehararigo


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